相続対策にアパートを建築することのリスク

                  相続対策にアパートを建築することのリスク

 

金融機関からの借入による賃貸アパート・マンションの建築という相続対策は、以下に挙げる四大リスクのをよく考えながら計画していく必要があります。一般的に建築会社や関係者がこうしたリスクを具体的に説明しているかというと必ずしもそうではないケースが多いのです。

 

その結果、相続対策を実行しても気づいたらいろいろなリスクにより最終手取りが減って赤字になってしまったり、相続効果が薄れたりといったことが発生してしまうことが起こるのです考えられるリスクは、次のものがあります。

 

① 想定賃料の減少の問題。

賃料は経年により下がる傾向にあります。それとともに、退去時の原状回復や入居募集時の礼金などが得られなくなったり、別途広告費を出すようになったりと、費用が掛かり出費も増えるようになり、結果として収入が想定よりも減少するようになります。さらに経年による老朽化により、新築時は高い賃料でも満室となり易いものですが、経年とともに室率の上昇によるリスクも生じるようになります。

サブリースという方法もありますが、これとにも一定の期間で契約の見直しがあり、当初のままの条件で継続できるというわけではありません。

 

② 設備等の減価償却が終わった後の問題。

一般に、建物設備の税務上の耐用年数は15年ですので15年を経過すると、建物設備の減価償却費が無くなります。税金を計算する際、収入から建物設備の減価償却費を差し引いた上で税率を乗じるので、その分税額が上がってしまい手取り収入が減ることになります。

 

③ 金利の問題。

未曾有の低金利も終了しそうですが、今後ずっと低位安定とは限りません。金利が上昇すれば利払い額は上昇し、当然に最終手取りは減少します。

 

④ 長生きリスクの問題。

借入による賃貸アパート建築という相続対策において、最も効果が出る時期というのは借り入れた時点です。年月の経過とともに、元本返済が進み、借入元本は徐々に減っていきますので、相続対策の効果は小さくなります。さらに、賃貸収入によって現金がたまっていくと、その分相続税額が上がるという現象も発生します。

 

上記の①については、建築会社やその関係者は説明しないことが殆どです。建築が完了した後は、自分たちは建築に責任を持つのが仕事、完成した後は不動産会社の責任だと考えているようです。②から③については、少し勉強すれば理解できることであり、この辺りは必ず抑えてく必要があります。

 

問題は、④です。これは何ともし難いという面もありますが、しかし事実であることには変わり有りません。

 

相続対策というのは、十数年の周期で見直すことが必要ということになります。相続対策で賃貸マンションを建築した85歳の方が言っておりましたが、「ここで返済がやっと終わり、安心したよ」と仰っていましたので、次の何かをしないといけないですねと言いますと、「もう、金は借りたくない」という返事でした。かなり苦労された側面があったんだろうなぁと感じ、気持ちはよく理解できました。しかし、結構重要な場面に来ていることも伺えました。「長生きリスク」という表現が良いのか悪いのかわかりませんが、実際にお聞きしたお話ですのでご参考にしてください。


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